anonyme cahier

四方山事

ある意味、都市伝説や怪談の発生メカニズム

 カクヨムに掲載された当初から話題になっていた作品です。

  ドキュメンタリー仕立てのフィクション、モキュメンタリー作品になります。

 「ある場所」というのは本当は存在しないのかもしれない。でも日本のどこかにはあるかもしれない、そんなことを考えずにはいられない内容になっています。

 「手繰っていくと根は同じ」でおなじみ、『残穢』(映画もあります)に似た話です。

 ホラー雑誌に送られてくる読者からの投稿。そのいくつかが似通っている。また、同じ場所なのでは? と思うような文面。

 「ある場所」とはどこなのか、怪談の元となった出来事がなんなのか探っていくホラー作品ですが、ミステリーっぽさもあります。

 原点がなんなのか探っていく過程や、見つかった事実も興味をそそられるのですが、『残穢』と同じく、祟られた人から新たな怪談が生まれていく――果たしてそこに終わりはあるのだろうか。

 有名作品の『リング』でも、呪いを解くために誰かに呪いのビデオを見せる、という解呪の方法がありました。怪談を広めていくことで呪いを薄めていくというような作品もあったような気がします。

 でも結局は映画『リング2』では新たな呪いが生まれたり。

 意外と本作品は、都市伝説が広まっていくメカニズムが描かれているのではないかと個人的に思いました。

 都市伝説然り、心霊スポットも誰が言い始めたのかわからないけれど幽霊が出るという。もちろん事件、事故が起こった場所だったりもするけれど、調べてみたら何も起きていない場所だったりする。

 ――人に伝播していく過程で、誰かが脚色してしまう。では、なぜ脚色してしまうのか?

 

 本作は上記の通りカクヨムに掲載されたものを書籍化したものになります。

 なので、webのほうでも読むことは可能です。

 ホラーと言えば夏のイメージですが、自分、年がら年中ホラー作品読んだり見たりしてるなと思い返して見たり……