U-NEXTで有料だけど配信が始まったので早速見ました。
公開当初から各賞を受賞したことで有名なフランスの作品。
タイトル、キャッチコピーからミステリ作品だと思っていたのだが……実際のところどうなのだろう。犯人の動機や告白のない、主観的な推理で終わっているミステリ作品も存在するので、人によってはこれはミステリなのかもしれない。
内容は法廷でのやりとりがメインとなっている。
以前、「ザリガニの鳴くところ」という作品をこのブログで取り上げた。あちらは裁判をやりつつ、主人公の生い立ちや事件までの経緯を描いているのだが、本作の舞台はほぼ法廷だ。
あらすじは以下の通り。
雪山の山荘(家)の前に転落死したと思われる男の死体が横たわっていた。当初は事故死と思われたが彼の妻であり作家のサンドラが殺したのではないかという疑いが浮上、裁判となる。
サンドラが殺したのだとして動機はなんなのか、いったいどのようにして殺したのか、法廷で明らかとなっていく――
なぜサンドラが殺人罪で起訴されることになったのか、それは遺体の状態、現場の状況が不可解だったからだ――キャッチコピーの通りである。
しかし、ミステリでいうところの解答編が一切ない。
真相を知りたい。意外な人物が犯人なのではないかと妄想を膨らませながら見続けた。そういう視聴者の目をスクリーンに釘付けにするためのキャッチコピーだったのかもしれない。
なんにしたって、現場の状況が不可解なのだ。
たまに、読者に挑戦状と称して犯人とトリックがわかっただろうか? と解決編の前にワンクッション置く作品もある。
あそこまで細かく現場の様子を描いたということは、必ず解答は存在しているとは思われる。しかし、それは明かされることはない。
ということで、スッキリした解決を望んでいる方にはあまりオススメはできない作品だ。
だがこれだけの評価を得ているのは、「ミステリ」にカテゴライズしないで見た場合ではないだろうか。
少しライトな純文学的な部分はあると思った。そう思えれば視聴者が置いてきぼりだろうが雑な終わり方だろうがとりあえず腑に落ちる。
私個人的には、フランスらしい作品だと思ったのだが、終わらせ方――作品の放り投げがうまい作品はたくさんあるので、他でも配信が始まれば評価はパックリ分かれるのではないだろうかと予想している。
そもそも、虚構なのだ。
フィクションなのだ。
映画の雰囲気を楽しめるかどうか、そういうことなのではないだろうか。
ちなみに、映画の予告編と一緒に評論や分析を行っている動画もあるようなので、それぞれの「真相」を楽しむというのも一興ではないだろうか。
日本のホラーはそういうものが増えてきているような気がする。
![落下の解剖学 [Blu-ray] 落下の解剖学 [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41uBmnVvWBL._SL500_.jpg)