最近読んだ本のレビューです。
前回作は小説投稿サイト「カクヨム」に投稿されていたのですが、今回は小説書下ろしだったのかな?
今回は実在する心霊スポットを取り上げつつの短編連作となっています。
ただし、一番最初に登場する「変態小屋」なるスポットは、私は心霊スポットとしてではなく、「検索してはいけない言葉」で知った場所です。実際、この近くでお亡くなりになっている人がいるとか――そこから心霊スポットになったのかもしれません。
前作『近畿地方のある場所について』は、都市伝説の広がり方や、それを収集して一つの場所にたどり着くというあたりが斬新で面白かったのですが、今回は小説仕立てになっているので、前作のような内容を求めていた人にとっては「アレ?」と思ってしまうかもしれません。
ただ、前作の名残があるかなと思えるのは、一番最初に取り上げる「変態小屋」パートかなと。ここを起点として色々探っていくうちに他の心霊スポットとの関連が見えてくるのかな? と、私はあらすじなどはチェックせずに購入したので、巻頭のカラーページを見ながら想像を膨らませていたのですが……まあ、この心霊スポットは〇〇と呼ばれている場所だなとか、実際に存在している心霊スポットで、その場所を知っていたので楽しめたかなという感じです。
その場所の曰くや、心霊スポット巡りではなく、こういう理由で訪れる人が一定数いるのではないかという部分の深堀りが欲しかったです。
ただ、ここから棚ぼたラッキー的な感じで一冊の本に巡り合いました。
巻末にて、「背筋氏大絶賛」と宣伝されていた本です。
どうも、不穏な本について語ることに定評が付き始めている今日この頃です。
ネットでとある施設についての考察が話題となりました。
実在していない施設だけども、提示される写真や動画の秀逸さで、注目を集め、推理しようとみんなが取り組んだ……自由参加型のマーダーミステリーというかんじでした(ちゃんと謎に取り組みたいなと思って早数か月、私はオチ的なものを知りませんが、興味がある方はぜひとも検索してみてください。ただ、考察がたくさん出てくると思うのでネタバレにはご注意)
そして、この『右園死児報告書』はこの施設の話のようなものだろうか? と思って読み始めたら、前半は「右園死児」というワードに関する報告書ばかり。そもそも「右園死児」というのはなんだ? 事件の名前? 団体名? 現象? とにかく謎だらけ。謎だらけで、少しだけ正体が見え隠れする報告もあって、知りたくてどんどん読み進めました。
後半は少し小説じみた感じになっているのですが、基本的には報告のみで構成されているSFホラーという感じでした。ただ終わりはちょっとぼんやりしているというか、謎が解けてスッキリ、というわけではないので合わない人もいるかと思います。
こちらもカクヨムで連載されていたようです。
で、思ったのですが、こういった短い文章、X(Twitter)でも投稿できそうな短い文章の集まりで一つの作品となっているのですが、これって過去に流行った「ケータイ小説」の派生なのでは? と思ったり。
ケータイ小説、私はほとんど触れては来ていないのですが、「王様ゲーム」などは映像作品で見たことがあります。
ケータイ小説は個人がガラケーでホームページを作り、そこで連載していたもので、小説投稿サイトから書籍化、映像化の原点だと思っています。
だとするならば、「ケータイ小説の流行りが再びというのはおかしいだろ」と言われるかもしれませんが、注目すべきは、その投稿される文体です。
小説投稿サイトの場合、基本的に「小説」というフォーマットにのっとった文体を投稿している方がほとんどです。
それに対して、ケータイ小説はどうだっただろうかと。小説投稿サイトの場合、小説賞への投稿活動をしている方や、自費出版をしている方もいるからか、かなり文章を書く上での細かい決まりを守った文体で書かれています。
ケータイ小説の場合は、当時の環境的にたくさんの文章を一気に投稿することができなかったのではないか? 日記やブログ、それこそ今のX投稿くらい文章が短かったのではないだろうか。
そういう点を踏まえ、小説の文体にとらわれない、横書き、縦書き関係ない、少ない文章の集合体で一つの作品を形成する、インディーズと言っていいのかわからないけれど、最近のホラーの流行りは過去の「ケータイ小説」に似たものがあるのではないかなと。
ケータイ小説や、今のホラーモキュメンタリーの源流にはたぶん2ch(5ch)という大型掲示板が深くかかわっているとも思っています(まったく作者がわからない、というか作者に対しお金を払わなくていいからなのか、オカ板からたくさんの映像作品が今でも作られています)
こういった作品が流行る裏には、「お金目的ではない」というのも少しあるような気もします。
実のところ、最近まとまった文章に集中できないなーというのもあって、だけど移動中やちょっとした間にサクッと読めそうな作品はないかなと、これらの作品に行きついたというところもあります。
ホラーが大丈夫な方向けにはなってしまいますが、サクッと読書の秋をやりたい人にオススメします。




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